Like A Rolling Stones

去年の秋頃から半年余りにわたって苦しめられた車のPV制作の仕事が3月の末に終わり、先日その車のお披露目イベントに行ってきました。エンジンに火が入った瞬間、空気を震わせる乾いた咆哮が明らかに異質で、煌々としたスポットライトの下、それは贅肉のないアスリートのように堂々としており、自分みたいな無能な爺が華麗なデビューの瞬間に深く関われたことがいまだに信じがたい気分。



それにしても長かった。そして辛かった。プレッシャーから、ストレスフリーを自他ともに認める僕が幾日も眠れない夜を送りました。産みの苦しみなんてものじゃなかった。もうこのまま生まれないんじゃないかと思った。

最近はできるだけ仕事をしないように、というのがオリンピックを控えたこの国の方針みたいだから、残業しないで早く帰るのが善のようだし、嫌な仕事に拘束されるのは人生の無駄使いだとも思うんですが、制作の現場ってそうはいかない。ただぼおっと闇に目を凝らしているような時間が延々とあって、当然その間は残業代も出ないし、尊敬もされない。もちろんひらめきやセンスも大事だけど、それを形にするには膨大な時間がかかる。そしてその果てに何かが生まれたとしても、数字が伴わなければゴミと同じ。つくづく因果な仕事を選んでしまったものだ。違うことをするチャンスは何度もあったのにね。とはいえ人が人でいられる領域ってクリエイティブな領域だけのように思うんだけど、一方でAIが流行りそうな歌詞を付けて器用に音楽を作ったり、Googleフォトがクラウドに上げた画像をつないで泣かせる動画を作って送り返してきたりするのを見ると、クリエイティブのアドバンテージもそう長くないのかも知れません。この先、エンタメの世界においしいところはあんまり残ってないような気もする。いい時代に生まれ、いい時代に生きて、たくさんいい思いができてよかったです。
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by melody63 | 2017-07-05 01:42 | Diary