シーサイド春秋

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ふと思い立って、バイクで三浦半島の剣崎灯台へ行ってきました。馬堀海岸近くで軽く昼食を取り、思い出ぽろぽろな三浦海岸を走り、金田湾を臨む懐かしいラブホテルを過ぎたあたりで海沿いの道を離れ、高台へと向かいます。この辺りの道は迷路のように入り組んでおり、うんざりするくらい道幅も狭いんですが、バイクなんで平気です。小高い丘の上をのぼり遥かに海を見下ろしつつ、コーナーの彼方に白い灯台が見えてきます。



車止めの手前でバイクを停めて、海へと続く道をのぼります。夏のような太陽が海や草むらに照りつけ、それでも吹く風はまだ夏のそれではなく、砂利を踏みながら5分も歩けば灯台にたどり着くことができる。灯台は古くもなく新しくもなく感動のない建物なんですが、道沿いに広がる風景は伊豆と似てるな。バイクに戻り、今度は草に覆われた細い未舗装路を降りて行くと、思いがけずひとけないビーチに出ました。砂の上に流れ着いた流木に腰を下ろし、しばらく波の音を聴いていた。ビーチの入り口にShiosaiという小さな表札の付いたリゾートホテル風の建物があり、廃墟というわけでもないけれど、ところどころタイルが剥がれ落ちていて、もう使われなくなって数年は経っている感じ。帰ってからググってみたけれど、情報は何一つありませんでした。Google様が知らないことがまだこの地球にはあるんですね。

再びバイクに乗って、風力発電の風車の下を走り、毘沙門茶屋の脇を過ぎる。城ヶ島大橋をくぐるとそこは三崎。若い頃しょっちゅう三崎に通っていた時期があって、当時は葉山から三崎に向かうルートは信号の数まで覚えていた。僕の故郷に似たさびれた街並みがうれしくて、賑わいのない商店街を歩き、同じ店でマグロを食べ、敷石の階段を登りきり、息を弾ませながら光る海を見下ろした。ある夏、その神社でお祭りがあって、小さな神輿が折り重なるようにして参道を練り歩く中、人混みに押されるようにして僕は歩いていたんだけど、ふと目線を感じて顔を上げると、その先の古い家の軒先に中学の同級生が薄い色の浴衣を着てうちわを手に立っていた。僕たちは遠く関西の出身だし、関東の外れのこの地で出会うのはあまりに偶然すぎてしばらく信じられなかったんだけど、確かにそれは間違いなく彼女で、中学の時同じクラスで彼女は委員長で、僕は図書委員だった。彼女のそばにはやはり浴衣を着た小さな女の子がおり、プラスチックの赤いじょうろで水をまいていた。僕も連れがいたので、そのときはほんの少し見つめ合っただけで、そのまま通りすぎてしまった。付き合っていたというのでもなく、部活で遅くなった時にいっしょに帰ったりする程度で、ただ、東京から転校してきた彼女は勉強もでき僕らにはない垢抜けたところがあって、席をくっつけて教科書を見せてもらったりするときはときめいたものでした。それからしばらくしてひとりで三崎に行った時彼女を探したんだけど、見つけることはできなかった。もし会えたとして何を話すつもりだったんだろう。僕が行きつけたお寿司屋さんはこぎれいなビルになり、名前も変わっていた。漁港の埠頭で昔と変わらない潮の香りを吸い込み、海風に傷んだボートを眺めたりして帰ってきました。
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by melody63 | 2017-06-09 00:18 | Travel