Good times and bad...

30代や40代の頃は、「やりたいことやってる人」を成功者としてうらやましく思ったものですが、50代を過ぎると「やりたくないことをやらなくてすむ人」こそが人生の勝ち組に思えるようになりました。物欲も失せ、1万坪の那須の別荘も大型クルーザーも持てない人生であることが次第にみえてきて(そもそも欲しくないですが)、家族といる時間が何より楽しく、それもこの子たちが成人するのを見届けられるかどうかと思えば余計切なさもこみあげてくる。



あと何度桜を愛でることができるのだろう。あとどれほどの距離を車で走ることができるだろう。会いたくもない人と会う時間や、嫌な仕事に携わることの罪深いまでの無駄。思った以上に時間は残されていないんですよね。

それにしても人はなぜ年をとると蕎麦を打ちたくなるのだろう。仏像をめぐる旅に出たくなるんだろう。蕎麦も仏像も、適度に奥が深く、答えがないからかも知れません。先日スカパーで勝新太郎の「王将」をやっていて、あらためて阪田三吉という天才将棋指しのカッコよさに驚愕しました。たったひとつのことだけに秀でる。将棋以外なにもできない。文盲で頭のなかは将棋のことだけ。残念ながら映画は阪田が貧しさから這い上がり名人へとのし上がっていく肝心なところの描き方が雑で、いまいち感動的な盛り上がりに欠けるんだけど、それでも一芸に秀でることの凄みと悲しさを感じました。

ところで先週八ヶ岳にスキーに行って、帰りにふもとにある立ち寄り温泉でヨメ様と子どもたちが風呂からあがるのを待っている間、テレビでNHKののどじまんチャンピオン大会をやっていて、これが予想外に素晴らしかった。チャンピオン大会ということもあってみんなうまいんだけど、地元のカラオケのスターの域は出ない。ただチャンピオンに選ばれた青年が最後にもう一度歌った時、歌い出しの1小節目で鳥肌が立った。ラウンジにいてスマホをいじり続けていた女子高生も、延々とゲームに興じていたサラリーマンやマッサージ中のおじいさんも、その他7、8人はいた全員が手が止めて顔をあげるのを見ました。歌は中島みゆきのカバーで「化粧」。この歌もいい歌なんだけど、サビ前ですでに僕の涙腺は崩壊しつつあり、職業柄大勢の歌を聴いてきましたが、名もない新人の歌を聴いて涙がこぼれそうになったのは初めてかも。ビジネスとしての音楽は風前の灯ですが、歌には人の心を揺さぶる力がある。そう痛感した瞬間でした。
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by melody63 | 2017-03-28 01:47 | Diary