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Drive My Car

かつては、、といってももうずいぶんと昔のことですが、村上春樹の作品が好きで、新作が出る度に書店に駆け込んで買っていた時代がありました。でも最後に買った新刊本が世界の終わりとハードボイルドワンダーランドの初版本で、あとは短編集をたまに手に取る程度だから、全然忠実な読者でも何でもない。ただ大学生の時に読んだ「1973年のピンボール」にはものすごく感銘を受けて、誤解を恐れずに言うならば、無駄にレトリックやアフォリズムが散りばめられた文体といいフィッツジェラルドやチャンドラーといったアメリカ文学への傾倒といい、こんなにも自分とし好の似た人がいるんだということに驚いたものでした。羊をめぐる3部作を台詞まで覚えてしまうくらい読み込んで、ノルウェイの森ではもう飽きていた。



ところで村上龍がラジオで語っているのを読んだんですが、村上春樹とは『自分はあの時、あの判断をして良かったんだろうか』という自意識の揺れこそが象徴的なんだと。なるほどね。ただ新作を立ち読みした限りで思うのは、このひとは退屈なセックスしかしてこなかったんじゃないかな、ということ。ある時期からやたらとセックス描写が増えた割には、どこか童貞色が拭えない。一線を越えられないもどかしさは文体だけではなくて、そういう描写においても感じてしまうんですよね。もちろんめくるめくセックスライフを送ればいい小説が書けるというわけではありませんが。
by melody63 | 2014-04-28 04:29 | Diary

Isn't It Romantic?


by melody63