人気ブログランキング | 話題のタグを見る

跳ね馬春秋

パリで活動しているアメリカ人のカメラマンがいて、彼と初めて出会ったのは3年くらい前のことでしたが、当時僕はF430に乗っており、サブにCLS63 AMGがあったりと、ささやかながら車道楽まっしぐらな時代で、仕事の後コンコルド広場近くのカフェでクルマの話で盛り上がったとき、携帯に入っていたオフ会で遭遇したカレラGTやチャレスト、GT3RSと一緒に並んだ画像を見せたところ、椅子から転げ落ちるくらいびっくりし、いやいや実はローンなんだけどね、とネタばらしをしても納得しない。僕のことをとんでもないリッチマンかつ成功者だと思ったみたいで、真偽のほどは定かではありませんが、彼の地ではフェラーリをローンで買う人なんていない(そもそもフェラーリ用のローンがない?)らしく、そう言うクルマに乗ってる人は真のセレブリティだけなんだとか。



まぁ誤解でも何でもちやほやされて悪い気はしないので適当に流していたんですが、いま日本では「月収20万円台でもフェラーリが買える * 」んだそうで、確かに2000年頃のモデナとかだと、気合いの入ったフルオプションのヴェルファイアを新車で買うのと大差ない。だけど実際に故障したとき必要となる工賃や部品は3000万のクルマに見合った工賃や部品な訳で、そんなに煽っちゃっていいのかな、と本の中味も読まないで余計な心配をしたりします。

ちなみにリンク先にもあるように、日本ではフェラーリに乗ってるからといって女の子にモテたりはしない。モテてる人はフェラーリに乗らなくてもモテてる人であって、多分月収20万でもない。どちらかというと堅気の女の子からは警戒され、速さにおいて国産を凌駕すると言うわけでもなく、IKEAに行っても椅子一つ持ち帰れない。やはりこの国でスーパーカーに乗ってる人は、市井の人が勝手に思い込んでいるような「ええかっこしい」なんかではなく、純粋にメーカーの歴史やデザインやメカに惚れ込んでる本物の車好きなんだという説は理解できます。少なくとも関東近県で車で見栄が張れた時代はもう終わってる。ではサーキットの狼を読んだこともなく、目立つことを好まない僕がなぜフェラーリに乗っていたのかと自問すると、つまりはカッコイイ車から降り立つ自分が好きだったんだと思います。所謂中二病の再発ですね。でもその僕を見る通りすがりの人々のまなざしが、自分がかつて想像していたほどに畏敬のそれでもなくまた温かいものでもないことは、今思ってもちょっと意外でした。

ところで冒頭のカメラマンと先日話す機会があって、そういえばフェラーリの調子はどう?というので、もう売っちゃったよというと、それは賢明な判断だと言う。ああいう車は本当に車が好きな人こそが乗るべきものであって、誰よりもエンツォ自身がきっとそれを望んでいるだろうよ、と。まあそうだろうね、と僕も妙に納得していました。またいつかああいう車に乗りたくなるときがくるんだろうか。たぶんもう二度とないような気がしています。
by melody63 | 2013-11-16 00:05 | Diary

Isn't It Romantic?


by melody63