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One day in a Paris

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坂口安吾の「二流の人」という小説を読んでいるんですが、坂口安吾は本当に文章がうまい。膨大な知識量にも圧倒される。有名な堕落論もそうですが、シンプルなアジテーションのなかにうんざりするようなアフォリズムが散りばめられている。安吾によると人の一流と二流を分かつものは、運命の時に迷いなく自分のすべてを賭けることができるかどうかにあるとのことで、物語の主人公である秀吉の参謀黒田官兵衛は類い稀な智者であり希代の戦術家であったが、自らの智に奢るあまり物事の深淵と対峙することできない。



一方秀吉は、という展開なんですが、狂気としか思えない晩年の秀吉が、読めば読むほど永年の友に重なって何ともいえない哀しみがわいてきます。「哀」なんてノスタルジックな漢字を使うのは久しぶりですが、天性の嗅覚と異常なまでの執念を併せ持つ「一流」の野心家である友に対する嫉妬かも知れません。「哀」しいかな、自分がまぎれもない二流の人であることを思い知らされる今日この頃です。
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by melody63 | 2012-07-12 01:17 | Travel

Isn't It Romantic?


by melody63