My Favorite Shop
2009年 09月 11日
ところでこの店は964を買った店でもあるんですが、急なオーダーにも嫌な顔一つせず迅速に対応してくれます。お店の方(営業とメカのお二方ですが)の人柄かも知れませんが、まったりとした雰囲気。何より仕事が楽しそうなんですよね。964購入にあたってはいくつも店を回ったんですが、ホストみたいな営業がいたり(フェラーリならともかく空冷ポルシェですよ、、)、ブティックみたい(暗くて見積書も見えない)だったり、偉そうな店もありました。一方ここは油臭くさくて、エンジンがむき出しでセメントの床に置いてあったりする。女の子がお茶を持ってきてくれるわけでもなければ、ミニカーの陳列もない。でも車はどれも程度がいいし(すべて空冷ポルシェなんですが)お店の方と話すのも地味に楽しくて、僕にとっては貴重な時間です。
好きな車に囲まれて毎日働くのってどんなだろう。毎日だとやっぱり飽きちゃうかな。neoさんもこないだ、もう銀座に飽きた、とか言ってたし(笑)。僕もたまに、芸能人と会えていいよねとかうらやましがられることがありますが、実感はありません。仕事なんで、むしろ面倒なことの方が多い。人は自分にないものをうらやましく思うんでしょうね。でももし僕に車をいじる技術と知識があったら、一度は車屋をやってみたい。村上春樹の「1973年のピンボール」に出てきた郊外のニワトリ小屋みたいな場所に古いフェラーリや空冷ポルシェを置いて、Bill EvansのAll The Things You Areとか聴きながら、匠風に黙々とエンジンを積み降ろしたりキャブレターを交換したりしたいです(コレ、いま読んでる本の影響です、多分)。
ところが突然旧車ブームがやって来て、ブームに乗って僕は金持ち相手にとんでもない値段で古いフェラーリを売りまくり、六本木のコーンズ跡あたりにショールームを構え、ホスト風の営業を雇い入れ、夕方から毎日銀座に繰り出し、親しくなったレコード会社の偉い人に頼み込んでAKB48の誰かとちょっとエッチなデュエット・ソング(カップリングは「エンツォの子守唄」)を出させてもらったりするような、実にイヤなオヤジになってしまう気もします。やがて旧車バブルが弾け、512BBはじめ不良債権化した古いフェラーリをニワトリ小屋ごと差し押さえられ、無一文になって日ノ出町のガソリンスタンドでイチから出直しのつもりで働いているとき、昔自分が売ったディーノ246がやってきたりすると、そのときは何か思うかも知れませんね。
お気に入りの写真なので、再掲です(笑)。
photo : LeicaM8+Summilux35mm ASPH./6bit
by melody63
| 2009-09-11 00:56
| Vehicle